彼が求める奇跡の一枚とは【イラストレーター KENTOO 独占インタビュー】

彼が求める奇跡の一枚とは【イラストレーター KENTOO 独占インタビュー】

こんにちは。
FACTOのZIMMAです。

普段アーティストはどのような思いで作品を創り、絵を描くのか———
みなさん、気になりませんか?
今回は、一アーティストを深掘りするインタビュー企画です。

ゲストは、ROCKテイストでアメリカンなイラストを描く、国内外で人気のイラストレーターKENTOOさん。
事前に募集した質問もぶつけていますので、是非最後まで読んでみてください!

 

-とにかく美しい線を求めて-

――ZIMMA:KENTOOさん、本日はよろしくお願いいたします。

KENTOO:よろしくお願いいたします。

――ZIMMA:早速ですが、ご自身の作品に影響を与えたアーティストはいらっしゃいますか?

KENTOO:幼少期は漫画家の鳥山明さん(当時Dr.スランプアラレちゃん連載)の作品をよく見ていました。“アメコミではないのにアメコミっぽい”タッチが子ども心にくすぐられ、めちゃくちゃ大好きでしたね。

大人になり美大を目指すようになってからは、とにかく綺麗な線を描くことに魅了されて。
30代前半頃にイラストレーターの空山基さん、後半には海外イラストレーター ロバート・マッギニスさんの作品と出会い、衝撃を受けました。本屋の洋書コーナーで作品集を見つけた時は、惹きつけられる様に手に取っていましたね。中身を見て「これはすごい…」と圧倒され、当時の私にとっては非常にセンセーショナルでした。

両者が描く女性は特徴的で、特に筋張った表現や線は自分の作風にかなり影響を与えたと思います。

――ZIMMA:KENTOOさんの描く綺麗な線のルーツはここにあるんですね。作品からもそのこだわりが伝わってきます。

 

-インスピレーションと構築の配色-

――ZIMMA:ユーザーからの質問で特に多かったのが色に関することでした
作品を制作していく中で、配色はどのように選びますか?

KENTOO:まずメインカラーを決めて、そこから周りが映えるようにまとめていく作り方をしています。例えばステッカー用にイラストを描く場合、遠くから見ても目立つように意識的にビビッドなカラーを使ったり、ラフの時点で穏やかな印象や優しい感じの作品だったら同系色でまとめたり。チョイスする色は結構感覚ですね。

――ZIMMA:FACTOで販売しているステッカーでお気に入りのカラーはありますか?

KENTOO:やっぱりビビッドなカラーが好きなので過去に描いたものだと、この2点(※①・②)がお気に入りですね。色もハマって個人的にはいい感じに仕上がったと思っています。

――ZIMMA:ポップで可愛い作品ですよね。キャリーケースに貼ってもとても目立つデザインだと思います。

※ 左①右②

 -ギターは好き。でも最近は…-

――ZIMMA:過去の作品に楽器、とくにギターを描いた作品が多くありますが、KENTOOさんはギターがお好きなのでしょうか?

KENTOO:元々ROCKが好きなので、その影響でギターは好きですね。昔はよく描いていました。ただ最近はあえて楽器モチーフは描いていません。楽器に頼らずとも絵を見ただけで音が聞こえてくるような、音楽を感じられる作品作りを心掛けています。

――ZIMMA:ギターが描かれてる作品の中で特に力が入ったものは、FACTOと石橋楽器とのコラボ作品だと思います。楽器を細かく描くのは大変だと思いますが、何か意識していることはありますか?

KENTOO:ギターって細かく描こうとするとすごく大変なので、作品に取り入れる時はデフォルメして描いていました。そっちの方が自分のテイストにも合って丁度良かったんです。
しかしFACTOと石橋楽器のコラボ作品に関しては、流石にしっかりと描かなきゃいけないなと。当時石橋楽器さんで人気のモデルだったものをモチーフにしたのですが、やはり好きなものなのでとても楽しく描かせていただきましたね。

――ZIMMA:FACTOの人気商品ですので、もしかするとギター好きの方が気に入って購入されているのかもしれませんね

 

-音楽が作品に影響することも-

――ZIMMA:楽器に続いて今度は音楽の話です。制作中は音楽をかけながら作業されていますか?

KENTOO:基本かけますね。無音で作業することはほぼないと思います。ジャンルは、ROCKやパンクなど疾走感があり、激しめの音楽をかけることが多いです。他にもテクノ系や打ち込み系、マニアックなものだとハードコア系をかけたりすることもあります。 

よくかけるアーティスト① Career Suicide/Attempted Suicide

よくかけるアーティスト② The Prodigy/Invaders Must Die

よくかけるアーティスト③ The Bacillus Brains/C・O・S・M・E

 ――ZIMMA:結構激しい音楽を聴かれるんですね。作品を描いてる最中に色や雰囲気などに影響することはありますか?

KENTOO:よく革ジャンなど革系のファッションを描くことが多いのですが、その時はROCKを聴いていることが多いかもしれませんね。配色も黒に差し色だけにして、シックにかっこよく仕上げたり。近未来感やサイバーパンク寄りのモチーフでカラフルな作品だと、テクノ系を聴いていた、なんてこともあるのかもしれません。

 

 

-語感の良さを意識。時には失敗も。-

――ZIMMA:よく作品の背景に言葉が入っていますよね。どういう言葉を選んでいるのですか?

KENTOO:好きな曲のタイトルや歌詞から引用することが多いです。例えば、ミッシェル・ガン・エレファントの「ピストル・ディスコ」とか、意味はよく解らないけど、“なんかカッコイイ”っていうのがあるじゃないですか。口にした時の語感がすごく気持ちいいみたいな、そんな言葉を選んだり、組み合わせたりしています。

――ZIMMA:今までの作品の中でお気に入りの言葉はありますか?

KENTOO:昔の作品に「Girls Booty」という言葉を多用していました。
直訳すると、Girlsは“女の子”、 Bootyは“戦利品”という意味で、「女の子の戦利品」という、なんとなく意味も語呂も良くて、カッコイイなと気に入って使っていたんです。
ところがアメリカに行った時、現地のお客様に笑われてしまって。
実は「Girls Booty」のBootyは向こうのスラングで「お尻」という意味だったんですよ(笑)。

――ZIMMA:雰囲気はかっこよくても、場所やその意味によっては気をつけないといけませんね(笑)

 

 

2019年、当時の海外イベントの写真(左はアメリカ/右は香港)

 

 

 

-ステッカーで意識すること-

――ZIMMA:ステッカーのイラストを描く場合、どのようなことを意識されていますか?

KENTOO:色に関する質問でもお話ししましたが、やはり遠目から見ても目立つことを前提にしています。イラストというよりデザインとして考えるほうが近いですね。スーツケースやギターに貼っても、KENTOOのイラストだとわかるように、かつ「自己満足+人に見せたい」という商品になるのが理想です。

――ZIMMA:FACTOのステッカーでそれが色濃く出ている作品はありますか?

KENTOO:この2点(※③・④)がいい感じかなと思います。SSサイズのステッカー(※④)は、元々ステンシルで使っていたイラストをデータに起こしたものなので、シンプルで目立ちやすいデザインに仕上がっているんですよ。

――ZIMMA:いろんなアイテムに貼って多くの人に見てもらいたいですね。

 

-時間をかけすぎずに作品として成立させる-

――ZIMMA:作品制作にはどれくらいの時間を掛けていますか?

KENTOO:大体、ラフと線画で30分ぐらい・カラーで30分ぐらいで描くようにしています。
描きすぎず、ここで止めておこうという意識が働くんです。細かく描きすぎると、良くない気がして。線画の段階でも作品として成立させたいという気持ちが強いですね。

もちろん仕事の場合は、クライアントの要望や雰囲気を考えて描かないといけないので、普段の作品作りとはしっかり分けて考えています。

 
――ZIMMA:FACTOの商品の中で、逆に時間をかけて描いた作品はありますか?

 

KENTOO:過去の作品だと、アナログテイストのある作品がそうですね。
今はしていないのですが、鉛筆で描いたものを取り込んで、そこから調整したり配色したりとちょっと手間がかかっているんです。ステッカーではほとんどやることはないですね。 

-奇跡の一枚を求めて-

――ZIMMA:作品作りで心がけていることはありますか

KENTOO:CDジャケットやレコードジャケットのビジュアルを描きたいという気持ちが昔からあるので、ROCKなテイストで尖った部分だったり、女性を描く際は、想像力を掻きたてるようなエロさやフェティシズム等を意識して描いています。

――ZIMMA:エロさやフェチの部分ですとKENTOOさんの作品には、表情に少し恥じらいを持った女性を描かれることが多い印象ですが、これも何か意識されているのでしょうか?

KENTOO:そうですね。堂々としてるよりも恥じらって隠しているほうが、唆られてよりエロさが際立つと思っています。
他にも、腕が曲がった時にできるシワや、履いているブーツの隙間などに触りたくなる・手を入れたくなるようなちょっとマニアックなフェチ部分も意識していますね。

もう一つ意識していることは、「奇跡の一枚」を目指して描いています
モデルやアイドルでも奇跡の一枚という写真があると思うのですが、イラストでもそれがあると思って日々追い求めています。

――ZIMMA:ご自身が納得する「奇跡の一枚」を追い求め続ける日々の挑戦、素晴らしいと思います最後にユーザーからの質問です。毎日描いてマンネリ化することはありませんか?

KENTOO:今のところそれは感じませんね。このポーズ描いたら面白いんじゃない?とか、これ描けたらいいなというものがまだまだ沢山あるんです。チャレンジしたい気持ちがどんどん積み重なって、自分の中で描きたいものが尽きないんですよ。もっと貪欲に描き続けていこうと思っています。 

――ZIMMA:毎日作品を投稿し続けるそのハングリー精神に感服いたします。
これからの作品も楽しみにしております。本日はありがとうございました。

KENTOO:ありがとうございました。

-最後に-

いかがでしたでしょうか?

KENTOOさんの作品作りのこだわりをたくさん聞くことができましたね。

KENTOOさんのステッカーが欲しくなった方は、ぜひFACTOオンラインショップでご購入ください!

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